KIMES 2026 現地レポート:スキンブースター最前線と「成分×濃度」競争の新潮流
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KIMES 2026 現地レポート:スキンブースター最前線と「成分×濃度」競争の新潮流

3月23日

この記事のポイント

2026年のKIMESを現地取材。美容医療ゾーンではスキンブースターが圧倒的メインテーマに。エクソソーム・PLLA・PDRN/PN・NAD⁺など複合成分の配合比率による差別化が加速。本稿ではトレンドの全体像と各成分の最新動向を詳報する。

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KIMES 2026とは:世界最大規模の医療機器・美容医療展示会

KIMES(Korea International Medical & Hospital Equipment Show)は、韓国・ソウルのCOEXで毎年開催される、アジア最大級の医療機器・美容医療の国際展示会です。医療機器メーカー、製薬会社、美容機器ブランドなど国内外から数百社が出展し、世界中の医師・クリニックオーナー・バイヤーが集結します。

2026年の開催でも、その規模と情報密度は圧倒的で、韓国が世界の美容医療トレンドをリードしていることを改めて実感させられる場となりました。

> 🇰🇷 現地レポート

> 今回、実際にソウルのCOEX会場を訪れて驚いたのは、会場の規模と熱量です。美容医療関連の展示エリアだけで複数のホールを占有しており、早朝から多くの医師・バイヤーが詰めかけていました。韓国語・英語・中国語・日本語が飛び交う会場は、まさに美容医療のグローバル市場の縮図そのものでした。

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現地で感じたこと:スキンブースターが全方位的に席巻

会場を歩き始めて数十分で、今年の美容医療ゾーンのキーワードが明確になりました。それは「スキンブースター」です。注入系治療の主役が、単なるヒアルロン酸フィラーから、複数の活性成分を組み合わせた「複合スキンブースター製剤」へと完全にシフトしていることが肌で感じられました。 ※医療機器も多数出展されていましたが今回のレポートでは省いていおります。

> 🏛 現地の印象

> ブースを巡るたびに「エクソソーム配合」「PDRNとNAD⁺のコンビネーション」「PLLA×PN複合製剤」といったキャッチコピーが目に飛び込んできます。各社が競合他社との差別化ポイントとして最初に挙げるのが「どの成分を何%配合しているか」という数値でした。単一成分製剤はすでに成熟商品とみなされ、複合成分の比率と純度が新たなバトルフィールドになっていると感じました。

大きく分類すると、今年のスキンブースター製剤トレンドは以下の4つの成分カテゴリを軸に展開されていました。

| 成分 | 特徴 | キーワード |

|------|------|-----------|

| エクソソーム | 幹細胞由来の細胞外小胞。情報伝達物質として細胞再生を促進 | 再生・幹細胞由来・新世代 |

| PDRN / PN | サーモン由来のDNA断片。コラーゲン産生促進・抗炎症の定番成分 | コラーゲン産生・抗炎症・再生 |

| PLLA | ポリ乳酸のバイオスティミュレーター。長期持続型のコラーゲン産生誘導 | 長期持続・バイオスティミュレーター |

| NAD⁺ | 細胞エネルギー代謝の補酵素。抗老化・DNA修復の補助成分として急浮上 | 細胞エネルギー・抗老化・DNA修復 |

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注目成分① エクソソーム:再生美容の新フロンティア

エクソソームは直径30〜150nmの細胞外小胞で、細胞間の情報伝達を担うシグナル物質です。幹細胞由来のエクソソームには成長因子・mRNA・miRNAなどが内包されており、皮膚細胞の再生・増殖を直接促進する作用が注目されています。

KIMESで見えたエクソソームのトレンド

今年のKIMESで最も存在感を放っていたのがエクソソーム製剤です。幹細胞の種類(脂肪幹細胞・臍帯幹細胞・骨髄幹細胞など)や、エクソソームの濃度(粒子数:Particles/ml)を前面に押し出した製品が多数出展されていました。

| 製品カテゴリ | 幹細胞ソース | 濃度表記 | 主な訴求 |

|------------|------------|---------|---------|

| エクソソーム注射製剤 | ヒト脂肪幹細胞由来 | 10¹⁰〜10¹²/ml | 肌再生・コラーゲン産生促進 |

| エクソソーム外用剤 | 臍帯幹細胞由来 | 10⁹〜10¹⁰/ml | 術後ケア・バリア修復 |

| エクソソーム複合製剤 | 骨髄幹細胞由来 | 10¹¹/ml以上 | PDRN/PNとの相乗効果 |

> 💡 現地インサイト

> エクソソーム単独製剤はすでに成熟しつつあり、次のフェーズとして「PDRN+エクソソーム」「NAD⁺+エクソソーム」といった複合製剤が各社の新製品ラインの中核を占めていました。各社の担当者に話を聞くと、エクソソームの粒子数と純度の高さこそが製品の差別化要因であるという説明が共通していました。

  • 粒子数(Particles/ml)の開示: 10¹⁰以上が有効の目安として業界内に浸透しつつある
  • ソースの多様化: 脂肪幹細胞・臍帯・羊水由来など原料の差別化が進む
  • 複合化の加速: 単独製剤より複合型の方が展示点数が多い印象
  • 外用剤との連携: 注射製剤と外用エクソソームのセット提案が主流
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    注目成分② PDRN / PN:定番から進化する複合製剤

    PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)・PN(ポリヌクレオチド)は、スキンブースター市場の基盤を作った成分として揺るぎない存在感を示していました。一方で、単独PDRN製剤はすでに「コモディティ化」の段階に入りつつあり、各社の戦略はその先に向かっています。

    > 🇰🇷 現地レポート

    > リジュラン(PharmaResearch)をはじめとする老舗ブランドのブースは相変わらず多くの来場者で賑わっていましたが、競合製品として「PDRN+エクソソーム」「PDRN+HA+ペプチド」といった複合処方も多数出ており、「純粋なPDRN一本」で差別化を図るブースはむしろ少数派でした。

    配合濃度による製品差別化

    最も顕著だったのが「PDRN/PNの配合率(%)を前面に出した製品訴求」です。今年は以下のような具体的な数値訴求が目立ちました。

    | 製品タイプ | PDRN/PN濃度 | 追加成分 | ポジショニング |

    |-----------|-----------|---------|-------------|

    | スタンダード型 | 0.2% PN | — | 肌質改善・スタンダード |

    | 高濃度型 | 0.5〜1.0% PN | — | 重度ダメージ・高齢肌向け |

    | 複合型(PDRN+HA) | 0.2% PN | HA 18〜24mg/ml | 保湿+再生の同時アプローチ |

    | 複合型(PDRN+エクソソーム) | 0.3% PDRN | エクソソーム 10¹⁰/ml | 次世代再生ブースター |

    | 複合型(PDRN+NAD⁺) | 0.2% PDRN | NAD⁺ 1.0〜2.0% | 抗老化+細胞活性化 |

    > 💡 現地インサイト

    > 高濃度型(0.5〜1.0%)の出展が増えた一方、各社の担当者は「濃度が高いだけでなく、分子量の設計と精製度が肝心」と強調していました。HPDRN(高精製PDRN)を採用し、不純物を極限まで除去することでアレルギーリスクを低減した製品も複数見受けられました。

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    注目成分③ PLLA:即効とバイオスティミュレーションの融合

    ポリ乳酸(PLLA)は従来、スカルプトラ(Sculptra)に代表されるバイオスティミュレーターとして知られていましたが、今年のKIMESではその進化形が多数出展されており、「スキンブースター」としての再定義が進んでいることを強く感じました。

    PLLAの進化形:マイクロスフェア+複合処方

  • 超微細マイクロスフェア化: 粒子径の均一化・微細化により、水光注射(メソガン)での使用が可能になった製品が複数出展。従来の粗大粒子ではできなかった細かい部位への施術が実現。
  • 即効成分との複合化: 即時的な充填・保湿効果を持つHAや、再生効果のPDRNと組み合わせることで「即効性+長期持続性」を同時に訴求。
  • 濃度設計の精緻化: PLLA濃度(mg/ml)の差別化が進み、低濃度の自然な仕上がり型〜高濃度のリフトアップ特化型まで細分化されたラインナップが登場。
  • 希釈プロトコルの標準化: 各社がPLLA×他成分の混合プロトコル(混合比・希釈量・施術間隔)を独自に策定し、クリニックへの提案を強化。
  • > 🏛 現地の印象

    > 「PLLAはフィラーじゃなくてスキンブースターとして打てる」という説明を複数ブースで聞きました。従来のPLLA製品のイメージを覆す、薄めて広範囲に打てる設計の製品が目立ちました。日本市場への導入を検討しているクリニックにとっては注目の動向です。

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    注目成分④ NAD⁺:細胞エネルギー美容の台頭

    NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、細胞のエネルギー産生(ATP合成)に不可欠な補酵素です。加齢とともにNAD⁺レベルは低下し、それがDNA損傷の蓄積・ミトコンドリア機能低下・炎症の増大につながるとされています。

    美容医療の領域では、NAD⁺の点滴注射(静脈内投与)が先行して普及していましたが、KIMESではスキンブースター製剤への直接配合という新たなアプローチを提唱するブースが目立ちました。

    NAD⁺スキンブースターの特徴

    | 配合型 | NAD⁺濃度 | 組み合わせ成分 | 期待される効果 |

    |-------|---------|------------|-------------|

    | NAD⁺単独注射 | 1.0〜2.5% | — | 細胞活性化・代謝促進 |

    | NAD⁺+PDRN複合 | 1.0〜2.0% | PDRN 0.2〜0.3% | 再生促進+DNA修復のダブルアクション |

    | NAD⁺+エクソソーム | 1.5% | エクソソーム 10¹⁰/ml | 細胞シグナル×エネルギー産生の相乗 |

    | NAD⁺+ビタミンC複合 | 1.0% | Vit.C 0.5〜1.0% | 抗酸化+美白×細胞エネルギー |

    > 💡 現地インサイト

    > NAD⁺はまだ「スキンブースター成分」としての認知が形成途上の段階で、各社が「なぜNAD⁺を皮膚に注入するのか」という基礎教育から来場者に伝えている印象でした。エビデンスの蓄積はこれからという段階ですが、2026年後半から2027年にかけて存在感を高める成分と見られます。

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    「成分×濃度」競争:差別化の最前線

    今年のKIMESで最も強く感じた変化は、製品の差別化軸が「どの成分が入っているか」から「その成分が何%(または何mg/ml)配合されているか」に明確にシフトしていることです。

    ① 濃度の透明性(Concentration Transparency)

    「エクソソーム配合」「PDRN配合」という曖昧な訴求から脱却し、粒子数・%・mg/mlを明記することで信頼性と差別化を図る製品が主流に。数値を出せないブランドはバイヤーに選ばれにくくなっている。

    ② 複合処方の最適比率を巡る競争

    「PDRN 0.3%+エクソソーム 10¹⁰/ml」「PLLA 40mg/ml+PN 0.2%」といった組み合わせの比率設計こそが製品の核心に。各社が「最適配合比」を独自のR&Dとして打ち出し、特許化の動きも。

    ③ 原料の精製度・純度の可視化

    PDRN・エクソソームともに、原料の精製プロセスと純度(不純物除去率)を第三者機関の試験結果として開示する動きが加速。医師・クリニックへの信頼担保が最重要マーケティング施策に。

    ④ 施術プロトコルのパッケージ化

    単品製剤の売り込みより、「導入→維持→ホームケア」の一連プロトコルをセットで提案するブランドが増加。クリニックの単価向上とリピート率アップを同時に実現する戦略として機能している。

    > 🇰🇷 現地レポート

    > 担当者に「競合製品との違いは何か?」と質問すると、ほぼ全社が「配合濃度と純度」を最初の回答として挙げていました。この数値を明確に提示できない製品はもはや競争の土俵にも乗れない、という厳しい市場環境を実感しました。

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    2026年のスキンブースタートレンド総括

    KIMESが示した最大のメッセージは、「スキンブースターの時代は単成分製剤から複合製剤へと完全移行した」ということです。

    成分別トレンドサマリー

    | 成分 | 2026年の位置づけ | 主な進化ポイント | 今後の展望 |

    |-----|---------------|-------------|---------|

    | エクソソーム | 最注目・急拡大 | 粒子数の開示・複合化 | 規制整備が課題、市場は拡大継続 |

    | PDRN / PN | 基盤・成熟期 | 高濃度型・HPDRN・複合化 | コモディティ化に対応した付加価値化 |

    | PLLA | 進化・再定義 | 微細化・スキンブースター化 | 市場拡大。既存フィラー層の取り込み |

    | NAD⁺ | 台頭・黎明期 | 皮膚注射製剤への配合 | エビデンス蓄積と共に急速普及予測 |

    日本市場への示唆

  • 製品選定の視点転換:「何の成分か」より「何%配合か」「どの精製グレードか」を確認する習慣が重要
  • 複合製剤の先行検討: 韓国・欧州ですでに普及しつつある複合型スキンブースターの国内導入を早期に検討すべき段階
  • エクソソームの法規制確認: 日本では薬事規制の観点から扱いに注意が必要。最新の規制動向を随時確認
  • NAD⁺のポジション確認: まだ「点滴投与」のイメージが強いが、スキンブースターとしての可能性を注視する価値あり
  • ホームケアとの連携: 韓国ブランドは注射製剤と外用剤のセット提案が主流。日本市場でも患者の継続ケアとしての活用を検討
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    まとめ

    KIMES 2026の美容医療ゾーンは、スキンブースターを軸とした成分競争が熾烈を極める現場でした。エクソソーム・PDRN/PN・PLLA・NAD⁺のそれぞれが独自の進化を遂げながら、相互に組み合わさることで次世代の複合スキンブースターというカテゴリが形成されつつあります。

    最もインパクトが強かったのは「配合率・濃度の透明性」が製品の信頼性の基準になりつつある点です。数値を出せる製品だけが選ばれる時代に突入しており、クリニックが製品を選ぶ際の評価軸も根本的に変化しています。

    この現地レポートが、日本の医師・クリニック関係者の製品選定や最新トレンド把握の一助となれば幸いです。来年のKIMESも、引き続き現地からお届けする予定です。

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    ⚠️ 重要な注意事項

  • 本記事は現地取材に基づく情報提供を目的としており、特定製品・治療法の効果を保証するものではありません
  • 治療効果には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるわけではありません
  • 製品の国内導入・使用については各国の薬事規制を必ず確認のうえ、適切な資格を持つ医師の判断のもとで行ってください
  • エクソソーム製剤等、日本国内での薬事承認状況については随時最新情報をご確認ください
  • 本記事の情報は取材時点のものであり、製品仕様・規制状況は変更される場合があります...
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